会長挨拶

第22回日本認知療法・認知行動療法学会大会
大会長久我 弘典
(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター センター長)
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター

この度、第22回日本認知療法・認知行動療法学会大会を2022年11月11-13日(金-日)の3日間、東京日本橋にて、オンサイト・ライブ配信で大会を開催させていただくこととなりました。

本大会のテーマは『デジタル x 人の温かみ』です。新型コロナウイルス感染症は、いまだ私たちの生活に大きな影響を与えています。感染する不安、経済的な影響による将来への不安、そして、孤独の問題も認識されるようになってきました。こうした状況において、認知行動療法は疾患の治療のみならず、ウェルビーイングの向上への寄与も期待されており、最近ではデジタル技術の活用が急速に進んでいます。一方で、デジタル化によって、人と人とのつながりや交わりが減少する可能性が危惧されています。そのような中で開催される本学会の意義は大変に大きいものと感じており、「デジタル」と「人の温かみ」を今一度考える機会になれれば幸いです。

2021年11月1日、認知療法の創始者であり、私たちの拠り所であるアーロン・ベック博士がご逝去されました。当学会はベック先生の残した偉大な遺産の上にあり、その精神と知性を発展させ、人類の福祉に資することを目的としていると考えています。今回の大会では、ベック先生を追悼する企画を進めております。そして、ベック先生が晩年に情熱を注ぎ込んだRecovery-Oriented Cognitive Therapy(CT-R)の創始者の一人であるポール・グラント博士を招聘し、講演していただく予定です。さらに、ベック研究所の所長であるジュディス・ベック博士からは、当学会のためにビデオ講演をしていただく予定です。他にも、国内外から素晴らしい講演者を招待しています。日本認知・行動療法学会、日本森田療法学会、日本プライマリ・ケア連合学会といった、さまざまな学会との協同企画を進めています。

本大会ならではの、初めての試みにも挑戦します。子育て中の方も安心して参加できるよう、託児に関する支援も準備中です。車椅子での来場やさまざまな障害を抱えた方も参加しやすいよう、ボランティアスタッフによるサポートを準備しています。今回の大会では、すべてのプログラムに精神疾患を持つ当事者の方にも参加していただけるように、新たに参加枠を設定します。初めて参加する学生や若手の方向けに、ウエルカムオリエンテーションや若手で交流する機会を設けます。そして、活発な研究発表を狙って、“ベストポスター賞”も独自に企画しています。また、大会期間中に会場で参加できなかったプログラムも、年末年始にゆっくりと楽しめるよう、発表の多くは翌年1月15日(日)まで、オンデマンド配信します。

厚生労働省が「介護の日」と定めているように、11月11日は一年で最も多くの種類の記念日とされているようです。その一つは「出会いの日」です。COVID-19状況下の苦しい中だからこそ、認知行動療法を中心に、医療分野のみならず、行政や産業界等の多分野・多職種が結びつき、個人、家族、グループ、そして社会をサポートできるよう、出会いの実りがある大会にできたらと願っております。

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